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街のバイク屋さん

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ここでも何度か書いてるけど、僕が最初にバイクに乗ったのは高2の夏。

兄貴のおさがりの原付でした。
レジャーランド大学に入った年に中型免許とって、必死でバイトして買ったのが当時衝撃的だったヤマハRZ250。ビギナーだった僕はよくバイク屋のおやっさんに怒られた。

「チェーンにオイルさせよ」とか「タイヤのエアー入れろ」とか、また「学校はどないや?バイトは?」等バイク以外の事もよく話してた気がする。
にもかかわらず卒業前に信州で事故って廃車になってしまった。
でもバイクの魅力にはまってたので新車購入。当時超不人気で生産終了もささやかれていたSR400。僕には結構おもろいと思っていた。
その頃から世は空前のレーサーレプリカブーム。そのバイク屋にも10代の子らがたくさん来てる。
当然景気もいいんやろう、店も小ぎれいになって「**モータース」やったんが「YSP××」になった。
僕が「おやっさんYSPってなんや?」聞くと「ヤマハスポーツなんとかや!」と言う。
「なんとかってなんやねん」黙々と整備してた見習いの兄ちゃんが「プラザ、プラザ 自分の店の名前くらい覚えといて」と言って、みんなで笑った。

今度はその子らにおやっさんは小言たれてる。「-----ほんでこの兄ちゃんみたいに大事に乗れ」言うてる。
僕は「ええって、おやっさん俺もこんなんやったって」と言うと「ちゃうんや、兄ちゃんはバイトして買ったやろ。この子らは免許とってすぐ親に買うてもろてん。そやから気合がちゃうねん」 なるほど。

そんなある日、訪ねるといつもは笑顔で「毎度、今日はなんや?」と迎えるおやっさんがしょんぼりオイルの缶に座ってたばこふかしてる。「どないしたん?」
「おお兄ちゃんか、まー聞いてーな。俺は人殺しの道具売ってるんかもしれん」と言った。
聞くとレプリカモデルを納車してすぐ事故で高校生が亡くなったらしい。
返す言葉がなかった。
おやっさんは僕のバイクを見つめて「SRはええなあ」とつぶやいた。
僕が買う時「こんな走らんのでええんか?」言うてたくせに。
いつも見習いに整備させて「構造が簡単やから若い子の練習にちょうどええんや」言うてたくせに。

それから僕は引越し等で数年そのバイク屋と疎遠になってた。
実家に行ったついでに久しぶりにバイク屋のぞくとおやっさんの姿がない。
兄ちゃんに「おやっさんは?」聞くと「先週ガンで亡くなった」と涙目で言った。
またもや返す言葉がなかった。

あれから40年近くすぎたか。「おやっさん俺ずっとバイク乗ってるで。ほんでまたSR乗ってるで。」
 
  (終わり)

昔、駄菓子屋にたむろしてた昭和の男の子は小学校高学年になると、プラモデル屋とか釣り道具屋に集まる。
綺麗な完成品に憧れたり、でっかい魚の魚拓にときめいたりして楽しくすごした。
青年になると、ある者はバイク屋に、ある者は楽器屋等に集まる。

バイク乗ってたらかっこええと思ってた。ギター弾けたらモテルと思ってた。
そんな男たちも社会に出て、仕事、家族に追われて自分の時間がだんだん無くなって行った。
で、近年中年になった男たちは又なんかやろうという空気になってる。
またバイク乗ろう、とか大人のホビーとしてプラモデル作ろう、釣りを始めよう等々。

でもいつしか街のプラモデル屋さん、釣り道具屋さんは姿を消した。たむろする場がない。
うちみたいな酒場が少しそれの代役をはたしてるような。
バイク屋はまだちらほらある。時々お世話にもなる。
でも、もうおやっさんはいない。 なぜならバイクやの店主のほうが若い場合が多い。
ちょっとさみしい。

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コメント

ええおっちゃんですね。
そんなおっちゃん好きですわ。

もう、マスターは、おっちゃんみたいに思いを伝える側に居るんかもしれませんね。
高校生から見たら、ボクですら40歳のおっちゃん?ですからね!

また話したいですわ。
今シーズンはキャンプ誘って下さいね❤

投稿: 芳ぼん | 2018年5月27日 (日) 21時50分

芳さん ありがとうございます。
ほんま伝える側やねんけど、伝える若もんが少ないですね。
キャンプ、夏はどうしてもカヌーになるので、なんとか秋に行けるようにしたいです。

投稿: マスター | 2018年5月28日 (月) 16時21分

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